平和な昼下がり。
今日は何もなく、平穏な日々を過ごしていた。
優雅にアフタヌーンティを飲むのもいい。
街に出かけるのも悪くない。
忙しくて読めずにいた本に目を通すのもいいだろう。



「さて、どうするか…」

…コンコン


今日一日の予定を考えていると、少し遠慮がちにドアをノックする音が聞こえた。

「坊ちゃん、少しよろしいでしょうか」
「何かあったか?」


どことなく様子のおかしい執事に視線を移す。


「今日はどこかへお出かけのご予定でもお考えですか?」
「いや、まだ決めていない」

僕のその言葉を聞くと、執事は綻ぶような笑みを浮かべた。
うっかり、その瞬間を目の当たりにしてしまい、一瞬心臓がはねた。

「だ、だったらどうしたっていうんだ」
「ええ、久しぶりにゆっくりとした一日ですので、坊ちゃんと二人きりのお時間がいただけないかと思いまして」

何の臆面もなく、そんな恥ずかしいセリフを吐くものだから
僕は今まで飲んでいた紅茶で少し大袈裟に噎せ返る。

「大丈夫ですか?坊ちゃん」
「っお前が!!いきなりそんなこというからだ!!///」



…あぁ、本当に、心臓に悪い。

「いけませんか…?」
「…うっ…」


こんなときだけ、そんな残念そうな顔して…。
卑怯だ。


「…別に、特別したいこともなかったから…構わない」
「ありがとうございます。では…」
「?…っな!?」


先ほどまでドアのそばにいたかと思っていた執事は、あっという間に距離をつめて
僕の体をふわりと抱き上げた。


「な、ばっ、おい!!何を…っ」
「今日は執事ではなく、あなたの恋人としてお傍におります」
「はぁ!?///そ、そんなこと、僕は許可した覚えは…」
「まったく…観念なさい」


そう言って執事は、抗議する僕の言葉を噛みつくようなキスでふさいだ。


「たまには可愛く振舞っていただけませんか?愛しのシエル…」
「…〜っ///」



平和な日々。
否、それはさっきまでのこと。
きっと、この執事が一緒にいる限り、僕に本当の平穏なんて日々はこないだろう。



(そんな日々でも、まんざらではないのだけど)



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