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大体、花村の理想は高すぎる。

しかも友情だけじゃなくて、恋愛に関してもそうだ。花村の理想に相当する友情は、普通に考えればどこからどう見ても「友情」の範疇におさまっていない。「親友」だけでももちろん該当しないし、「相棒」だけでも無理だ。
花村が理想とする、相手のすべてを欲して、さらに自身のすべてをさらけだすようなその関係に、名前をつけるとしたら。
おそらく、それは「特別」を越えた「唯一」であり、「親友」と「相棒」にもうひとつ関係性を付け加える必要があるんだろう。それを、花村本人が自覚しているとは思わないけれど。
気づいているのはきっと、その感情を向けられている俺だけだ。


そして、それを重荷だとも、ましてや気持ち悪いとも思わない俺自身も、すでに手のつけようがないほど手遅れ状態なのかもしれない。


「理不尽だ……」
「え、なにが?」
「なんでもない」


悔しいから、きょとんとした顔で首を傾げている花村には、一生説明してやらないことに決めた。



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