――何故だろうか?
君と見上げる空は、いつも何気なく見るものと全く違う気さえする。
「敦賀さん! 今日は雲一つない、良い天気ですね!」
ニコニコと可愛らしい笑みを浮かべ、空を見上げる君。
釣られるように空を見上げれば、この梅雨の時期には珍しい快晴。
「今日は、良い事がありそうな気がしませんか? 久しぶりの晴れ間なんですもの」
「うん、そうだね。こんな良い天気だと……それだけで嬉しくなるね」
そう答えると、君はえへへと照れ笑いをこぼす。
――そんな君に俺の心が乱されているなんて……気付いてないんだろうなぁ。
「敦賀さん、どうかしましたか?」
きょとんとした顔で見上げてくる君に俺は微笑む。
「いや、本当に良い事があるなぁと思ってね」
「……? 何かあったんですか?」
「まぁ、そこは秘密」
「え? ズルいです! 敦賀さん!」
教えて欲しいと拗ねる君。
色々な表情の君が見れて、やっぱり今日は良い日だと実感する。
「それはね、朝一番に君に会えた事だよ」
「ッ!! つ、敦賀さん! ど、どうして、そう……うぅぅぅ、敦賀さんのイジメっ子ぉぉぉ!!」
真っ赤な顔をして、去り行く君を見送りながら、思わず、晴れやかな笑みが浮ぶ。
――あぁ、やっぱり、今日は良い日だ。
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