【言霊】WEB拍手お礼SS(7)(左三)


「殿、愛してますよ」
 左近が腕の中の三成に心を込めて囁くと、それに対して返ってきた三成の答えはひどく可愛げのないものだった。
「そんなこと言われずともわかっている」
 三成はふんと鼻を鳴らして、そっぽまで向いている。それは、どう考えても相思相愛の恋人に愛を囁かれた時に取るような態度ではなかった。
「殿は言葉などなくても左近の愛を信じてくださるという訳ですか。嬉しいですよ」
 だが、その三成のぶっきらぼうな態度が単なる照れ隠しだと知っている左近は、頬を緩め、余裕の言葉を返した。
「でもね、殿。言わなくても通じる想いだって、口に出した方が良いんです」
 そう言いながら、左近は三成の頬に口付けを一つ落とす。
「愛してます、殿」
 左近の低く魅力的な声が紡ぐ愛の言葉は、三成の心にざわめきを起こした。胸の鼓動は高まり、白い顔は上気して、体中が痺れたように力が抜けて、自分を抱き締める愛しい男の腕に身を委ねるしかなくなるのだ。
 たった一言の言葉だけで、自分がそんな風になってしまうことを三成はもう知っている。
 言わなくても通じる想いを敢えて口に出すのは、こういう効果を狙ってのこともあるだろう。左近の愛の言葉は言霊そのもののように、ただそれだけで三成を操る魔力を持っている。
「左近……」
 三成は愛しい男の名を呼んで、その瞳をひたと見つめた。
「俺もお前を愛してる」
 自分が発した言葉が、同じように言霊の魔力で左近を縛れば良い。
 そう願って三成が口にした言葉にもう照れはなかった。
[終]
 
 
 
 
 
状況説明を思い切り省いているので、二人がどこにいるのか全然わかりませんな。
まあ、たぶん三成の部屋でいちゃいちゃしてるんだと思います。

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