「ぷっ……くくくくっ」
類が爆笑する横で、あきらはそそくさとズボンのジッパーを直して居住まいを正す。
「全く、お前は相変わらず嫌な野郎だぜ…」
「…そ?」
そう言うと、類は差し出されたXYZのカクテルを口にする。
_なんだよ、やっぱり飲むんじゃねーか
あきらが呆れたよう表情で見返すが、本人はどこ吹く風だ。
「_ところで、あの女…今どうしてる?」
「あの女?」
類の唐突な質問に意味がわからず聞き返すと、類はため息をつきながら一人の女の名前を口にする。
「…あきらもうボケたの?ちょっと早いんじゃないの?…あの女、北河原…だっけ?つくしを拉致った女」
「_て、てめぇ」
類のあまりの言い草に、人の良いあきらも思わず顔を引き攣らせるが、まあ、類はこんな奴だよな…と、思い直す。
_あの拉致事件の後、あの女のしでかした事件のせいですっかり信用を失い親の会社は倒産寸前になった。
そんな時、俺は類に頼まれてあの女の元へ一つの見合い話を持って行ったんだ。
_とある富豪の後妻の話しだが、あの女の親はなりふり構わず飛びついた。
もちろんその見合い話は、類が秘密裏に手配したもので…
内容はご想像通り、旦那の趣味は女と同じ、ハードなSM調教。
その時の類の言葉は秀逸だったな…
「趣味も合うし、お似合いじゃない?」だったか?
あきらは当時の事を思い出し皮肉に口元を歪ませる。
「ああ…あの女も大分躾けられたみたいで…くっw正に借りてきた猫つーの?あの女の場合はメス豚か?すっかり調教済みだったぜ」
「…そう、あの女もやっとペットの気持ちがわかったようだね」
そう言うと、類は満足そうに微笑んだ。
by 蜜柑一房
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