「なぁ、あきら。お前だったらどれが燃える?」



リビングで寛いでいたら突然そう言って総二郎が話しかけてきた。




「はぁ?なんだよいきなり」



「これだよ。コ・レ!」
「この雑誌の記事、読んでみろよ」




俺たちの前にバサッと拡げられた雑誌の見開き。
【おまえらはどれが好きだ?】
なんだ?この見出しは?



総二郎がみせた雑誌を四人で覗き込む。
そこには彼女にしてもらいたい憧れのシチュが書いてあった。



ふ~ん、なになに?
へぇ~





「俺はこれだな。彼Yシャツ。大きいYシャツ着てるから肩が落ちて、袖を捲ってもまだ長い袖口からちょこんと華奢な手首が覗いててさ、おまけに裾からは白い脚が腿の途中から見えてるんだぜ。最高だろ!」


総二郎……
そのにやけた顔でカサノバを気取るなよ。
崩れてるから。





「俺がしたいのはこの中に無いよ」

「ん?類はなにがいいんだ?」

「お代官様ごっこだよ。着物の帯を引っ張って解いて『あ~れぇ~』ってくるくる回したいな」




類……
お前どこでそんな知識を仕入れたんだよ。




「子供の頃にテレビで見てから憧れてたんだよね」

「ちょっと待て、子供の頃って二十年来の夢なのか……?」

「そうだよ」




流石はテレビっ子の類だな。





「司は?どれがいいんだ?」

「あ゛?俺はお前たちの言ってる事が全然理解出来ねぇんだよ。彼Yシャツ・濡れシャツ・裸エプロン・ベビードール……おまけにお代官様ごっこだと?」
「何の事だかさっぱり解んねぇ」



「マジかよっ?司、これは男の浪漫だぞ、知らねぇと絶対に男の人生を損するぞ」



「そうなのか?でもよ俺にはどんなもんなんか想像もつかねぇんだよ」



「はぁ~仕方ねぇな司、耳貸せ……ごにょごにょごにょ…………」
「な?解ったか?」



「お、お前らやらしいぞ!」




司……
お前いくつだよ。
総二郎に何を吹き込まれたのかは想像つくけど、顔真っ赤じゃねぇか。
こんな事で鼻血出すなよ?





「で、あきらは?」



「俺は裸エプロンだな。このカッコで『お帰りなさい。お風呂にしますか?ご飯にしますか?それともア・タ・シ?』なんて言われてみろよ。想像するだけで興奮しないか?」



「うーーん、確かに仕事からくたくたになって帰ってきてそのセリフ言われたらクルな」



「だろ?特にうちはいつも三人に突撃されてたからな」




はぁ、思い出しちまったよ、メルヘン三人組。
ハードだったよな……
俺の青春は。






「みんな~ご飯出来たよ~!」

「「「「すぐ行く」」」」





まったく男っていくつになっても……





by aoi

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