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夏みかんの薫り溢れる中、お式が執り行われる。
真っ白なドレスを着た花嫁が、大きな大きな笑顔を咲かせて、やってくる。
キラキラと輝く瞳の王子様が花嫁の手をとりベールをあげて口づけを交わす。
永遠の愛の誓いの口づけを。
あぁ、良かった。ボクは、とってもとっても幸せな気持ちになる。



類、ありがとうね。クゥちゃんを宜しくね。
クゥちゃん、いっぱいいっぱい幸せになってね。


トト、クゥちゃんを宜しくね。
“ワフッ”と吠えれば
ポペ先輩任しといて下さいと
“ワフッ”と答えてくれる。



ボクは、見守る。クゥちゃんと類とトトの2人と1匹を。


ある日、クゥちゃんの家に仲間が増えた。可愛い可愛い男の子。
トトは、その子の守り神のようだ。
一日何回も何回も、自分のベッドと、赤ん坊のベッドを行ったり来たりしている。



ある日トトがお空に昇ってきた。
「ポペ先輩、本当に本当にすみません‥交替してください」
トトに頼まれる。



トトに頼まれたボクは‥クゥちゃんを待てなくなっちゃたんだ。


ごめんね。クゥちゃん。
虹の橋で待ってるつもりだったんだけど‥‥


トトは、まだ下界に降りて行けないから。
ボクが変わりに行かなくちゃなんだ。
まだちょっと早いから、ボクはボクの姿で降りて行けない。





クゥちゃん気が付くかな?
ボクがポペだって




* ****
「やっ、このコがいいのっ」
「タッくんは、ワンワンがいいって言ってなかったかな?」
「タッくん、ニャンコが、このコがいいの」
「ママに聞いてみないとだよ?」
「ママ、じぇったい いいっていうの」


どこから来てるんだろうこの自信は?
誰に似たんだろうこの頑固さは?


「ママァ〜 タッくん このコがいいの」


つくしが、子猫を見る。子猫がニャーと泣く。
「タッくんをよろしくね‥ポペ」
つくしが子猫に話しかけている。


拓人が類に振り向いて
「ねっ、ママ、いいよって いったでしょ」
得意気に笑ってる。


子猫の名前は、ビー玉んで、ビー
あれっ?どっかで聞いた事ある名前だな?
と類が首を傾げれば、つくしがクスリと笑う。



ビ−は、どこに行くのも拓人と一緒だ。
拓人が叱られれば、一緒になってショボンとして、拓人が笑えば、一緒になって喜んでいる。
忙しい類とつくしの変わりに、拓人をいつでも見守ってくれている。
まるで、拓人の守り神のように。


「ビー、いつもありがとう」と類が御礼を言えば、ビーは
まるで、気にすんなというように茶色い瞳で類を見て
「ニャー」と言いながら、尻尾をピーンと立てて去って行く。


つくしは、時折ビーを抱っこして小さな声で聞いている。
「ビー、どこまで記憶があるの?」って。


ビーは、残念な事に何にも憶えていない。
それが‥‥下界に下りる時のお約束だから。


でも、ビーは、拓人が、ママが、パパが大好きなんだ。


拓人が、類が、つくしがビーを大好きなようにね。






fin

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