サルベージ【おまけ】
 
ぱたり。
生物学準備室と生物室の間を繋ぐ扉が閉じる音がした。
きっと彼女は様々なことを察して、何も言わずにいてくれたのだろう。
父兄の苦情にべこべこに凹んだ彼が、彼女の近くに来ながらも顔を出せなかった理由も。
いい女だな、まったく。
増田はしばらく机に突っ伏したままそんな事を考えていたが、やがていつまでもこうしていても仕方がないと顔を上げる。
 
ことり。
彼が顔を上げた事により、彼の頭の上に乗せられていた何かが机の上に落ちた。
なんだろう?
増田は彼女の置き土産に視線をやり、それを認識し思わず吹き出した。
彼の頭の上に乗せられていたのは、彼らが子供の頃からある定番のお菓子だった。
クリームをサンドしたビスケットの入った真っ赤な箱には、黄色い丸の中の文字がマジックで強調するように囲まれている。
 
『おいしくて つよくなる』
 
ああ、まったく敵わないな。
増田は彼女のプレゼントを胸ポケットに大事にしまいこんだ。
「ああ、もう分かったよ。強くなる、強くなってみせるさ」
増田は彼女のいる部屋の扉に向かって呟くと、明日は一粒で3百メートル走れるキャラメルでも持って彼女の所に顔を出そうかなどと考えながら、がたりと椅子から立ち上がった。

 
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ビ○コ、いいですよね。

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