ついに最終話までたどりつきました。ずっと道標のように思い描いていた場面を描いて筆をおろしたときの寂しさは、満足感にもまさるものがありました。 「え、これってハッピーエンド?」と思われる方もいるでしょう。そうなのです。不安がいっぱいの微妙なハッピーエンド(笑)。 これからいったい彼らがどうなるのか、あとは読者に委ねます。あらゆる冒険の可能性を秘めて、あとはそれぞれの想像力におまかせしたいのです。 とはいえ、それではあまりに突き放してしまうので、近日中に短いエピローグをアップしたいと思います。後日談のようなものですので、蛇足になるかもしれませんが、そこはお赦しください。 この後の歴史について この小説のラストである202年の春、皇帝セウェルスは妻とふたりの息子とともに長いパルティア遠征を終えてローマへと凱旋します。 (もちろん、カラカラがこの時期にひとりでブリタニアに来たという史実はまったくありません。作者の創作です) それから数年にわたって、セウェルス一家はローマにとどまりました。 しかし、208年いよいよセウェルスは懸案であった北ブリタニアの平定のため、軍事遠征に乗り出します。いつものように家族も同行、カラカラは父とともに遠征軍を指揮しました。 この遠征はかなり大規模なもので、ブリタニア駐留の3軍団に加えて、ゲルマニア、パンノニア、モエシアからの艦隊が加わったそうです。ローマ軍はハドリアヌスの長城を越えて進軍、北方民族に大打撃を与えたと言われています。 1度目の進軍が終わったところでセウェルスは病に倒れ、それ以降の指揮はカラカラが取りました。しかしセウェルスが211年2月にエボラクムで死去、カラカラは北方民族と和平協定を結び、ローマに帰還したことでブリタニア遠征は終わりを迎えます。 この遠征でハドリアヌス長城以北の砦も再建され、北ブリタニアはその後1世紀にわたって平和を保つことになります。 カラカラはローマに帰還したあとの211年12月、自分が単独皇帝になるために、母親の目の前で弟を惨殺するという暴挙に出ます。ゆえに後世に残虐な皇帝として名をとどめることになるのですが、少なくとも彼が和平協定によって北ブリタニアに平和をもたらしたことは確かなのです。 果たしてここにレノスとセヴァンの活躍があったかどうか、歴史は何も伝えていません。 このページの拍手数:155 / 総拍手数:59145 |