「月の戦士」第12章「はるかなる故郷よ」(3) へ拍手をありがとうございました!




安定の二ヶ月更新(笑) 毎度のことで申し訳ありません。
今回はちょうどよいところで区切りがつかず、逆に短くなってしまいました。次は反動でかなり長いはず。秋のまっさかりの頃お届けできると思います…思います…




ヴィンドランダ遺跡

古代ローマ軍の将校が、撤退間際に書類をすべて焼却してしまう……サトクリフの「辺境のオオカミ」にも出てくるシーンですが、当時のローマ人が、いかに敵に情報を渡さないように細心の注意をはらっていたかがわかります。もともと皇帝でさえも、「記録抹殺刑」に処せられるお国柄ですし。
侵入と撤退を繰り返していた当時の北ブリタニアの様子がほとんどわかっていないのも、このことが原因なのかもしれません。



ところが、ヴィンドランダという遺跡に大量の木簡が発見されたのです。
厚さ2ミリという薄さの木簡(木の板に書かれた書状や覚書。英語ではtablet)は、沼地の泥の中で酸素に触れなかったことで奇跡的に保たれた状態で、1992年から発掘が始まったそうです。


ヴィンドランダとは、ハドリアヌスの長城の南側のほぼ中央付近に、紀元1世紀(つまり長城ができる前)から5世紀ごろまで辺境警備の任についていたローマ軍の要塞で、主にガリア出身の部隊が駐屯していたようです。
ヴィンドランダ遺跡
大規模要塞の遺跡


その木簡によれば、豊富な日用品やぜいたく品がそろい、将校の妻たちもローマと同様の社交生活を送っていたことがうかがわれます。一方で過酷な自然と向き合う辺境の生活は厳しく、脱走兵も多かったようです。
しかし、木簡が焼却されずに残っていたということは、とりもなおさず5世紀まで大規模な撤退がなかったということを示しているように思います。
ヴィンドランダの木簡
木簡の発掘作業


さて、物語の舞台は、ローマの北ブリタニア支配にとって最後の生命線とも言えるハドリアヌス長城へ移って行きます。


写真:http://www.vindolanda.com/ "Roman Vindolanda" ホームページ

このページの拍手数:67 / 総拍手数:51027

コメントを送る

※コメントに入力できる文字数は全角で最大1000文字です

※このコメントはサイト管理人のみ閲覧できます