告白翌日の話


いくらなんでも手が早すぎるのではないだろうかと、なんとなく怒りたくなった。
同時にアリシアの胸は早鐘を打っていた。どうしようもなく頬が染まっていく。
「あの」
「うん」
「うん。じゃなくて、離れてください」

「なんで」

「なんでって・・・学校でしょう!?どうしてくっつく必要があるんですか」

「可愛いなあと思ったらつい」

「公私は分けてください!」

「分けてる。人も居ない」

後ろから抱きかかえられる形。床に二人が腰を下ろし、ルーカスの身体に背を預けすっぽりと納まっていた。場所は執行部室。昼で誰も居ないのをいいことに呼び出されたのだ。そしてこれである。

囁かれた言葉に抵抗の動きをやめた。背後から腕で包み込むと、うなだれるようにアリシアの肩に額をくっつけて長い息を吐く。
自分の肩に額を押し付けているルーカスがひどく疲労困憊していたように見えた。
心なしか声に力もない。

「もしかして、疲れてます?」

「・・・ああ、そうかも。最近ロクに寝てない」

返事が来るまでが長かった。眠いのか、と問う前に腕に力がこもった。

「寝てください。私にかまうよりも大事なことでしょう」

「情けないが。・・・逃げられるのではないかと不安だった」

弱々しい声に、アリシアが目を丸くした。昨日ないてたから、と続けられる。
「弱った勢いで了解した、と言われそうな気がしないでもなかった」
「・・・それは」
わずかに口ごもる。だが数秒後には、肩の力を抜いた。抱かれるままに身を委ねる。
アリシアの赤銅色の髪を、かさついた手のひらがゆっくりと撫でていく。


ネリィに見つかり、根掘り葉掘り質問される数分前の出来事だった。


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