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以下お礼文章です。拙いですが、よろしければどうぞ。
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ずっと、君を待っていた。




目を覚ました時、隣にいる少女を見て目を奪われた。
まだ寝起きでぼんやりとした頭で考える。――誰か、と一緒に寝ただろうかと。
そうして生まれた考えをすぐに否定した。
そんなはずはない。王になってからというもの、いやそれ以前から誰かと寝ることなどありえなかったのだ。手の暖かさに気づいて無意識のうちに口元が緩んだ。
誰かと手をつないだことなど、どれくらいぶりだろう。
同い年くらいに見える少女は、見たこともない顔立ちをしていた。しいていえば、バリスの民に似ている。艶やかな黒髪ときめ細やかな肌はふっくらとしていて、頭がぼんやりとするにまかせて空いている手で彼女の頬に触れてみた。
やわらかい。
頬に触れる手に気づいたのか、少し眉間に皺を寄せる。ライエはそのまま顎のラインに向かって指を下ろしていく。
ちょっと顔をしかめた。
見たこともない服だ。少し空いた襟ぐりから、体のラインがうかがえてかっと全身が熱くなる。
なのに、目をそらせない。
無理やり顔に視線を移すと、今度は口元を緩ませて穏やかな顔をしていた。そのことにまたどきりとする。
大切なことを、忘れている気がする。
ああ、どうして彼女はここにいるのだろう。
そっと体を寄せてみる。あたたかい。
人肌が暖かいことなんて、すっかり忘れていた。
泣きたくなる。

そろそろ、きっと起きる時間だ。ライエは王になってから、一度として目覚めるより先に起こされたことなどない。
――きっと、怒られる。何か言われるだろうか。
でも、この手は離せそうになかった。だってずっと求めていたものだ。
ずっと。
いつからいるのだろう。誰かから――ライエの、妃にでもと派遣されたのだろうか。
ようやくそのことにも頭がいくが、それは違うと頭のどこかで誰かが言った。
誰かが。
それは、ライエ自身かもしれないけれど。
そっと唇に手を当ててみる。薄い唇。
はあ、とライエは自分でも気づかぬうちにため息を漏らした。
(声が、聞きたい)
思えば思うほど、どんどん求める。声が聞きたかった。ライエの名を呼んで欲しかった。その目を開けて――ライエを、見て欲しかった。
王としてではなく、ライエ自身を。

おそらくライエの護衛が監視しているだろう。それは王として当然のことだ。でも、彼女を見ていると思うとお腹の奥がしくしくと痛む。
(僕のものなのに)

じっと見つめていると、視線に気づいたのだろうか。うっすらと目が開きかけて、慌ててライエはそっぽを向いた。
別に悪いことなどしてないはずなのに、胸がどきどきした。彼女の目に、自分を映したくてたまらないのに、見られたくないと思う自分がいた。
「ん………」
彼女があげた声が妙に耳に残り、慌てて寝たふりを装う。色っぽい女の人ならたくさん見てきた。色事を知らないわけではないし、それを教える人もいる。それもまた、王の仕事だから。
なのに、彼女の声はそのどれよりも耳に残って、耳の奥で反響し、ライエを酔わせた。

「……まだ夢見てるのか。寝直そう」

夢なんかじゃ、ない。
そう叫びたい。でもその声は。
ずっと、求めていたもので。『あのとき』求めたものと同じ声。ライエを、深淵から救い出した声だった。
(――――ああ)
ずっと、待ってた。

遠くからレイナードらが駆けてくる音がした。特に何があるわけでもない。煩い、と珍しくライエは自分の時間を邪魔されたことを思った。

「陛下っ!!」

ライエの手から、彼女の手が離れる。

彼女の悲鳴が響く。
「ここまで侵入するとはどこの者だ、目的は陛下の暗殺か!?」
違う。
ライエは手をさ迷わせる。あの温かい温度は、どこにもなかった。
「痛いってば!! ちょっと離して何するの!!」
助けないと。
慌てて体を跳ね起こす。
シェロンが彼女の細い腕を捻り上げる。その場におしつけ――体を抑えつけた。頭が沸騰する。
誰の許可を得て、彼女に触れているというのか。
レイナードの気遣わしげな視線がうっとうしい。所詮、王をお飾りに置いておくための役目の者だと知っていた。それでもライエのことを――王のことを第一に考える者だからこそ、どうでもいいと思っていた。
「陛下、この者は――」
「黙れ」
ライエの呟くような、それでいて今まで発したことのない低い声にレイナードが押し黙る。
床に足を置いた。

――これは、夢じゃない。夢かもしれない。どっちでもいい。

「殺してくれたら、夢から覚める?」
だめだ。
夢からなんて――覚めさせない。
ライエは、声を張り上げた。


「羽ばたきの音」第1話のライエ視点でした。
ライエから見れば、同い年に見えるんですよね、ユイは。この世界ではユイの見た目は13歳くらいで、ライエが成長を止めてるだけです。個人差はあるけど。
王族の13歳くらいは、実際年齢よりだいぶ、精神年齢が高いということでvv
それでは拍手ありがとうございました。

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  • 向日葵 : アウレリア大陸記と花戦を読ませていただきました。とても面白かったです。続きも楽しみにしています。頑張って下さい。
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  • ねいか : はじめまして。羽ばたきの音、私のどストライクです!!主人公が素敵過ぎます!今度、花戦の方も読みます!
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  • : 花戦、羽ばたき共に主人公の性格が素敵です!!!
  • ましろ : はじめまして。花戦も羽ばたきの音も非常に面白く、続きが気になります。特に花戦は陰謀系が気になって気になって・・・。まだまだ寒い季節ですので、お体に気をつけてお過ごしください。
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  • 読者☆ : 花戦、なんだか続きが楽しみでワクワクしてます☆