黒羽編



バケツをひっくりかえしたかのようなひどい雨の中。

雨でかすむ景色の中に、葛西は空を見上げて立っていた。

彼女をつたう水が、すべて彼女の涙のように見えて。


次の瞬間。彼女はスローモーションのようにゆっくりと膝からくずれていった。

葛西。どうしたんだよ。何があったんだよ。

なんでおまえこんなにボロボロなんだよ。



とにかく俺は葛西を家に運んだ。

冷たいこの体を、はやく温めてあげたいと思った。

家に入りまず風呂場に運ぶ。

壁に寄りかからせ床に座らせると、熱めのシャワーをコートの上からかける。

真っ白だった顔に、やや赤みが戻ってくる。

俺は少しだけほっとして、彼女のコートに手をかけた。

そして、言葉を失った。

コートの下には、無残にボタンが引きちぎられたブラウスがあった。




本来であれば、今、医師としてここでとるべき行動は1つ。

この状況を記録・・・・即ち写真におさめるということ。

乱暴されたのであれば、後の裁判で必要となる証となる。

でも、俺はそんなことを考える余裕もなく、葛西を抱きしめた。



上からシャワーが雨のように俺たちに降りそそぐ。

俺を伝う水が、涙のように頬を流れ、君に落ちていく。

まるで時間が止まってしまったかのように、俺は葛西を抱きしめたままシャワーに打たれていた。
 
 
 


 
 
まぬかんですー。拍手ありがとうございます♪

上の黒羽編は、本来であれば#13のお礼ページとすべき内容なのですが、#14のネタバレ要素もふくんでいたので、#14のお礼ページとしました?

まだまだ無愛想(?)な黒ちゃん(笑)ですが、お気に入りのキャラのうちの一人です。

祐介共々愛していただけるとうれしいです♪





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