ドラマ「陳情令」で藍忘機と魏無羨を演じられた、
王一博さんと肖戦さんをモチーフにした、空想の物語です。
「博君一肖」「BJYX」小説。BL風味。

みつばのBJYX小説第5弾、「Orange」です。

(注意)現実に存在する方のお名前が入ってますが、内容は、全くのフィクションです。

そのあたりを受け入れられる方のみ、お読みください。

※中国での名前の呼び方、文化、その他、常識の決まり等がありますが、
二次創作上の都合で、書かせて頂いている部分があります。ご了承ください。



「Orange」




「戦哥、オレンジ」

キッチンで、くし型にカットしたオレンジ。

それを山盛り入れたボウルを手にした王一博が、
リビングのソファに座っていた肖戦のところに戻ってきた。

濃い橙色で、甘い露を沢山含んだように見える粒ぞろいのオレンジ。

「うわっ。うまそう」

肖戦は目を輝かせて、王一博の持っているボウルに手を伸ばそうとした。

「待った」

肖戦の横に腰掛けた王一博は、肖戦の手を避けるようにボールを遠ざけた。

「僕が食べさせてやるから。戦哥は、目を閉じて」

「は?」

「いいから、目を閉じろって。その方が美味しく感じる」

「そうか?」

苦笑しながらも、肖戦は、王一博の言葉に従って、目を閉じた。

「はい。あーん」

王一博の言葉に、肖戦は素直に口を開けた。

王一博は、ニヤニヤしながら、つまんだ一切れを肖戦の口の中に入れた。

肖戦が口の中に入ったものを咀嚼しかけ、何かに気づいて目を開けた。

「…っ!」

…すっぱい!!

顔をしかめ、思わず口を手で押さえた肖戦は、
食べているものがオレンジで無いことを確信した。

「アハハハハ」

肖戦の横で、腹をかかえて笑っている王一博がいた。

「それは、レモンだ」

王一博は悪戯で、オレンジの山の中に、こっそりとレモンのカットを忍ばせていたのだった。

…やったな。

酸っぱさのあまり、口もきけない状態の肖戦は王一博を恨めし気に睨みつけた。

そして、王一博の肩を手で押した後、脇腹をつつくように責めた。

「うわっ。冗談だって。戦哥。アハハハハ」

体勢を崩しながらも、楽し気に笑い続けている王一博の上に肖戦が迫った。

「まった。まった。オレンジが落ちるからー…」

そう、クスクスと笑って、ボウルを持ちなおそうとした王一博の手に肖戦が手を添えた。

そして・・・


王一博がハッと息をのむ前に、肖戦の唇が王一博の唇をふさいでいた。

急襲に驚いて目を見開いている王一博の口に
肖戦がレモン交じりの唾液を流し込んできた。

王一博の顎に、口から漏れた雫が一筋、滴っていく。

唇を離した肖戦が、やわらかく細めた目で、目の前の王一博を見つめた。


「酸っぱいだろ?お返しだ。」


ふふっと笑って、そう言う肖戦を、
王一博は、照れた表情をごまかすように、上目遣いで睨みつけた。

両耳だけは、心を正直に表して、仄かに赤く染まっている。

「酸っぱくない」

まるで、負け惜しみのように言う王一博に肖戦が笑った。

「嘘だ」

「ほんとだ」

王一博が言って、肖戦に手を伸ばした。

そして、肖戦の頬に手を添えると、伸びあがって、今度は王一博の方から肖戦の唇を奪った。

レモンの酸味で、少しひりつく舌を和らげるように。
王一博は肖戦の舌に積極的に舌をからめていった。

王一博と肖戦は、オレンジのボウルが床に落ちないように、
互いの手で支え合いながらも、もう片方の手で相手の顔を捕えた。

そして、心が欲するままに、相手の唇と舌を貪った。

重ねたキスで、レモンの風味が消えかけた頃、
名残惜し気に王一博が肖戦からそっと顔を離した。


「・・・な?」

王一博の問いに、肖戦がぼぉっとした顔で「何が?」と尋ねた。

「甘かっただろ?」

王一博の悪戯っぽい眼差しと口調に、肖戦が笑った。

「うん。甘いな」

「このオレンジも甘いはず。食べて。戦哥」

王一博がそう言って、オレンジの入ったボウルを差し出した。

「…これ、もう全部オレンジか?」

そう疑い深く聞く肖戦に王一博がニヤリと口角を上げた。

「まだ、いくつかレモンが入ってる。
見れば分かるけど、戦哥は、今眼鏡もコンタクトも外してるから、見えにくいだろ?」

「さすがに、分かる」

「じゃあ、互いに目隠しして食べるって遊びはどう?」

「ロシアンルーレットみたいな?」

「そう。レモンにあたった人は罰をもらう」

「もう、レモンにあたったって時点で罰だろ」

肖戦が朗らかに笑った。

「どんな罰だ?」

「相手からキスされる」

「…それって罰か?博弟」

そう聞く、肖戦の顔も声も、急に甘く感じた王一博だった。

「…それ以上の罰が欲しいのか?戦哥」

そう問いかえす、王一博の顔も声も、
欲以外の何かを含んだように見えた肖戦の胸が高鳴った。


「まずは、オレンジを食べさせてくれ。
君が指を切らずにカットしてくれたオレンジを口にしたい」


うぶな少年というわけでも無いのに、顔や耳もやけに熱く火照っている。
そんな自覚を持ちながら、肖戦はボウルの中のオレンジに手を伸ばした。

王一博もオレンジを一切れ取ると、再び、肖戦の口元に持っていった。

「これは、本物のオレンジだ」

「こっちもだ」

そう言って、王一博と肖戦は、持っていたオレンジを互いに相手に食べさせた。


「甘い」


異口同音に言って、顔を見合わせた二人は笑った。

「もっと食べて。オレンジ好きだろ?戦哥」

「うん」


王一博は、肖戦がオレンジをとって、美味しそうに食べる顔を嬉しそうに見ながら、
自らも手にとった物を口に入れた。


「…!酸っぱい」


王一博が顔をしかめて、思わず口から出したレモンに、肖戦が噴き出して笑った。

「自分が仕掛けた罠に引っかかったのか?」


苦笑いしながら、王一博は口元を手の甲で拭った。


「わざとだ」

「負け惜しみだろ?」

「負けるが勝ち」

王一博がニヤリと笑った。
そして、悪戯っぽく肖戦の顔を覗き込んだ。


「ほら。キスして。戦哥」

「…この策士」



王一博をわざとらしく睨むふりをした後、肖戦が微笑んだ。

「レモンは、この中にあと何個あるんだ?」

唇を重ねる前、
そう聞く肖戦に王一博が惚けた顔で目を細めた。


「キスしたいだけ」


レモンだけでなく、山盛りのオレンジ全部。


肖戦と王一博。
二人の明るい笑い声は、互いの唇によって塞がれた。



(end)


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