七海+烏丸

部屋の片付けをしていると、忘れていた品々と再会する。
これまた懐かしい物が出てきたものだ。
擦り傷だらけのケースに、カセットテープ。
今となっては昔々、中学時代に七海と烏丸が初めて組んだ時の曲。

折角だからと流してみれば、やはり恥ずかしさが先立つ。
重なるギターとベースはまだまだ荒削り。
それから、青臭いくらい幼い歌声。

「いや、声変わったなと。」
「お前ほどじゃないけどな……」

視線を送って不敵に笑う七海の呟き。
いつでも平静で苦味走った烏丸の低音。

共にした歳月の中で変わっていったのは姿だけでなく。
弦を掻き鳴らす指先も、旋律を形作る声も。
相棒を手に入れたばかりの頃とは比べ物にならない成長。
此れも全て、音楽を愛すればこそ。

*約30の嘘 或る二人「美しい老成」

このページの拍手数:7 / 総拍手数:1381

コメントを送る

   

※コメントに入力できる文字数は全角で最大1000文字です

※このコメントはサイト管理人のみ閲覧できます