お礼ss:玄徳×花





益州に入った玄徳はその統治を磐石なものにするため、
地方豪族・名士の協力を得るべく自ら彼らの元に足を運ぶ事にした。
無論反対の声は多かったが、
兵を引き連れる事は相手を警戒させることになると、
軍師である花一人を伴って半日ほどの行程である。


季節は冬
低く垂れ込めた雲が雪を呼び、ちらちらと舞い始めたそれは
やがて吹雪に変わった。


「すまない、こんな事になるとは。」


寒さから彼女を庇うよう、風除けになるために玄徳は体を屈めた。
元々乗馬に不慣れな花は玄徳の騎馬に同乗していたのだが、
さらに近くなる距離にぎこちなく固まった。
恥ずかしがるような事でも無いのかもしれないが
それでもやはり、慣れないのである。


「寒い・・・よな。」

体を固くした花に勘違いをしたのか玄徳が気遣う。
握っていた手綱を放すとそれを花に取らせ
彼女の手の上に己の掌を重ねた。


「・・・手が冷たくなってるな。」


冷たくなっていた手がやんわりと彼の掌に温められ、
心までも包まれたような気持ちになる。
包み込むように、信じ、受け入れてくれる。
花は彼のそんな所がたまらなく好きだった。





目的の交渉は円満に終わり、その日は旅先で宿を取る事になった。
花は旅の疲れから部屋に落ち着くなりウトウトと、
気づけば眠ってしまっていた。
どの位経ったのか、ふと目を覚ますと
窓越しに見える玄徳の部屋にはまだ明かりが灯っていた。

(――玄徳さんまだ起きてるのかな。)

そんな事を考えながらも、また眠りの中に引き込まれていった。



翌朝目を覚ました花は
机の上に昨日まで無かったはずの物を見つける。
彼女の知っている物とは多少違ってはいるが
形といい、大きさといい、編み込まれているそれは


「・・・手袋?」


暫く考えていた花はその送り主に思い当たって、頬を綻ばせる。

手に通したそれは何もかも花にぴったりだった。



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