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~薄い壁の向こう側~
écrit par plumeria










それは3人で銭湯に行き始めて3日めのこと。
今日も入り口の扉を開けると「いらっしゃい♪」という女将の嬉しそうな声が響いた。
勿論女将の目線はつくしの後ろ…男湯に向かう美青年だ。
 
一応その横にくっついてる将来有望な美少年にも目は向けるが、心の中で『この子はまだまだ…』などと呟いてることを誰も知らない。いや、実は常連にはバレバレであるが、女将本人は誰にもバレてないと思ってるだけ。
 
 
「つくしちゃん。今日もなんだね~」
「はい、そうなんですよ~。大人二人と子供一人、まとめてお願いしま~す」
 
「はいはい♪」
 
 
その時、女湯の方から1人の子供がスッポンポンで飛び出してきた。そして体格のいいおばさんに「服を着てからだって!」と引っ張られ、再び奥へと消えていった。
それを見た楓維は目がテン……その子にはどう見ても自分と同じモノが付いている!しかも背格好が自分とほぼ同じ。
 
それを見てギロッと後ろを振り向けば、これまたいつものように楓維の首根っこを捕まえて男湯に連行しようとする類。
その手をパン!と払い除けると、つくしの腕にしがみついた。
 
 
「…………何してんの?」
 
「あんた……騙したな?」
「ちょっと楓維くん、どうしたの?騙したって……」
 
「何の事?いいから牧野の腕を離せよ」
 
「俺、つくしと入る!」
「……えっ?あら、そお?」
 
「牧野!それはダメだろ?こいつは男だし!」
 
「でも今俺と同じぐらいの子が入ってたじゃねーか!それなら今日は俺もこっち!」
「…………あぁ、それで?あっはは!」
 
「笑い事じゃないでしょ!」
「でもまぁ、5歳ならいいんじゃない?」
 
「……ふふん♪」
 
 
確かに普通の5歳ならそこまで思わないが、相手はあの司そっくりの甥っ子だ。そんな子につくしの裸を見られるかと思うと、何故か司本人に見られてるようでムカつく。
……でもそんな心の狭さを見せてもいいのか?と悩んでる間に2人は赤い「女湯」の暖簾を潜った。
 
男湯の前に取り残された類の顔を、番台の女将さんがニヤニヤと見ている……いや、そんな事はどうでもいいが。
 
 
仕方なく1人で常連の爺ちゃんズの中に入って行く類の顔はいつにも増して冷ややか……とても湯に浸かってるとは思えず、逆に周囲の客を凍らせそうな空気が流れた。
 
その時……
 
 
「楓維くんの、ちっちゃいねぇ~、可愛い~!」
「う、うるさいな!!まだコドモだから仕方ないだろ!」
 
ーそりゃ小っさいでしょー
ーいくら司の甥っ子でも5歳からデカかったら俺は泣くよー
ーいや、そうじゃなくて……牧野、楓維のを見てるの?ー
 
女湯から聞こえて来た声にピクンと耳が反応する。
勿論爺ちゃんズ一同も同じく。
 
 
「つくし、ここピンク色なんだな……」
「うん、可愛いでしょ?」
「……あ、こっちもピンク……」
「やんっ、押したらだめだってばぁ~」
 
ーえっ?!何処がピンク色って言ってんの?まさか…ガン見してるの?ー
ー可愛いとか暢気に言わないでよ、牧野!ー
ーこっちも?こっちもって……何処?!ねぇ、何処押したの?!ー
 
 
女性の身体でピンク色と言えばアソコとアソコ……
まさか5歳児に先を越されるとは思ってもいなかった類は湯船の端で腰が抜けそうになっていた。
しかも押した等と言われては、その行為を想像して頭の中が沸騰直前……類の回りだけ湯気の量が多い。
 
 
「つくし、ここヌルヌルしてる……」
「ホント?綺麗にしてあげようか?」
「自分でできるからいいって……あっ、いいって言ってるのに!」
「いいじゃない、すぐに終わるから」
 
ーヌルヌルって……どっちの何処が?ー
ー牧野が綺麗にって……じゃあ楓維の…が?!えっ、その歳でもう?!ー
ー自分でできる?楓維、誰に教わったんだ?司じゃないよな……ー
ー牧野、すぐに終わるって、あんた、何してんの?!ー
 
 
「楓維くん、気持ちイイ?」
「…………うん」
「そう、良かった~♪仕上げもしようね~」
「…………うん♡」
 
ー気持ちイイ事ってなに?ー
ー待って?そこにはおばちゃん達もいるよね?誰も止めないの?ー
ー楓維、お前、何処からそんな甘えた声出してんだよ!ー
 
 
止まらない会話が類の熱をさらに上げ、爺ちゃんズも吹き出しそうなのを我慢。
そして今現在類の入ってる湯船には誰もいない……皆洗い場で身を寄せ合い、ウキウキしながら今後を予想しているのである。
 
 
「楓維くん、この穴に入れて?」
「……ここ?」
「うん、そう…もっと深く……奥までね」
「痛くねぇんだな?」
 
ー穴?穴って……ー
ー奥まで?!いや、待て……小っさいんだろ?届かないよね?!ー
ー痛い?!なにやってんだよ!!
 
 
「やぁんっ!ズルい~~!違うとこ触ったでしょ?」
「いいじゃん、少しぐらい」
「もうっ……じゃあもう1回やろ?」
「またかよ!そういうの、ワガママって言うんだぞ?」
「今度は私が掴むからね!」
 
 
………………………………
………………………………
……………………もう、我慢出来ないっ!!
 
 
ザバーーーッ!!っと勢いよく立ち上がったのはいいが
バシャーーーン!!とそのまま湯の中に倒れ込んだ。
 
 
 
「女将さ~~~~~んっ!イケメンがひっくり返ってるぞ~~!」
 
女風呂に聞えないようにとの配慮なのか爺ちゃんズの楽しい呼びかけに、番台から「待ってました!」と言わんばかりに身軽に飛び出す女将さん。
 
 
 
その後、湯からあがって身体を拭き終えたつくしと楓維は男湯を見ながら呟いた。
 
「類、遅いね~~」
「…………だな」
 
「でも子供用の椅子ってホントちっちゃいね!男湯は水色なの?」
「……俺はあいつと同じオトナ用を使ったから知らねぇよ。
でさ、あのピンク色のボタン押したらどうなるんだ?」
 
「あれは非常ベルみたいなもんで、押したら番台のおばちゃんとお話出来るんだよ。使った事はないけど」
「へぇ~~~~」
 
「楓維くん、いつもは誰が髪を洗ってくれるの?」
「……ナニーかな。時々ママも……」
 
「髪が柔らかくていいなぁ~」
「そうか?…ってか、風呂の中で勝負するとは思わなかった……」
 
「指キャッチ?面白かったでしょ?」
「……そう?ちょっとバカバカしいけど」
 
「途中、足でお尻触ったの、まさか……態と?」
「そんな訳ないだろっ!///あれは……足が滑ったんだよ……」
 
「あっはは!まぁ、いいや、許してあげる」
「……///」
 
 
「類、遅いね~~」
「…………だな♪」
 
 
その頃、逆上せた類が女将の部屋に寝かされ、隅々まで観察された挙句スケッチされていた事など2人は知らない……。
 
 
 
おしまい 





À la prochaine. demain 0:00
 
 
 

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