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華麗なる逆襲
écrit par Seika










「そういえば…」
「ん? なんだ?」
 
シガレットケースとライターを司に返した楓維が、思い出したかのように口を開く。
 
「つくしのところの娘、可愛いんだよ。
この前Skypeで話したんだけど、『かーい♡』って手を振ってさ」
「牧野の娘……って、上の?」
「うん」
「……ほう……?」
 
司の眼が煌めく。
楓維と二人の娘の年の差は九歳。
離れているといえば離れてはいるが、この世界ではそう珍しいことでもない。
かつてはつくしを忌避していた楓も、今では“花沢家の若奥様”という肩書きを抜きにして、その存在を認めている。
椿に至っては……言うまでもない。
問題があるとすれば、それは寧ろこちらというより、向こうの方だろう。
 
「………面白いことになってきたな……」
「?? なにが?」
 
問いかける楓維。
けれど司は、それ以上は語らない。
ただ一言。『あいつは手強いぞ』とだけ告げる。
訳もわからず首を傾げる楓維の背中を、大きく叩いた。
 
 ―…どうなることか…。
  十年…否、二十年後が楽しみだな。
 
楓維に笑いかける、愛した女の血を引く娘。
その娘に笑顔を向けつつ、内心では酷く焦る親友。
司の脳裏に、“そのとき”に起こるであろう風景が浮かび上がる。
 
そう。この“勝負”はまだ、始まったばかり。
高みの見物を決め込んだ司の顔に、不適な笑みが浮かんでいた。
 
 
 
おしまい





À la prochaine. demain 0:00
 
 
 

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