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紫陽花にアマガエル
écrit par Sorairo










「おかえりなさいませ」
「ただいま 磯貝」
 
「……類様、何か御座いましたか?」
「ん?」
 
「……楽しそうなお顔をされてましたよ」
「………あぁ…蛙かな?」
 
「蛙……ですか?」
「ん、蛙♪」
 
 
牧野と本格的に付き合い始めて数ヶ月。
あのドタバタ2週間の桜から新緑、そして紫陽花に…少し鬱陶しい季節になっている。
 
社会人になった俺に「お仕事はちゃんとしなさい」とデートは専ら 土日にしてる。
 
金曜日の会社帰り、手元のリモコンで門を開け車庫に、車を降りた時に庭の奥から蛙の声が聞こえて来た。
 
ウシガエルとは随分と違う……可愛い声だ、
アマガエルかな?
 
 
エントランスを抜けながら、あの時の話をする。
 
「絶対!連れて帰るっ!!」と頑張る楓維を牧野と自然教室のお兄さんと3人で説得。
最後は「いつかまた来ようね」で締めくくり、苦笑いのお兄さんに深々と頭を下げた。
 
 
「まぁ、そんな事が…」
「……大変だったんだよ…」
 
「でも、楓維さまは牧野さまとのキューピッドですからねぇ~」
「は?……やめてよ…あんな5歳児」
 
「仰ったのは旦那様と奥様ですよ♪」
「………………」
 
ふと、牧野との事を報告した時の両親の嬉しそうな顔を思い出す。
 
……いや……それとこれは別だ…
 
 
「考えてもみてよ、ウチの庭にウシガエルだよ?」
「ほほほ…」
 
「凄い声で鳴くんだよ?」
「ほほほ…」
 
「ウシガエルの繁殖地になったらどーすんのさ…」
「確かに…紫陽花には似合いませんわねぇ…」
「だろ?」
 
 
「お茶、お持ちしますね」
 
………そう言った磯貝の背中に一言
 
 
「明日、牧野連れて来るかもだから食事宜しく」
「まぁ、皆 喜びますわ。シェフに伝えて参ります♪」
 
 
明日は紫陽花の葉に乗ってるアマガエルを見ながら、あの強烈だった2週間の思い出話でもしようか?
アマガエルならあんなにデカく無いから牧野も可愛いと言うだろうか?
 
晴れるといいな…あ、晴れたら蛙が出て来てくれないか?
 
 
♪♪~♪♪~
 
「あ、牧野?俺…」
『類?お疲れ様ぁ~』
 
「明日なんだけどさ…」
『うん、どした?』
 
 
庭の紫陽花が咲いたんだ、見においでよ。
小さい蛙もいるよ、一緒に見よう?
 
これから毎年、一緒に見よう。
 
………いいよね?
 
 
 
 
おしまい 





4日間に渡りお届けしましたスピンオフ
これにて終了となります
なお、明日0時よりあとがきがございます
最後までどうぞお付き合い下さいませ

 
 
 

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